外構だけで空き巣を防ぐことはできません。埼玉県の資料によると、住宅対象の侵入窃盗では侵入経路の約7割以上が窓で、鍵をかけていない玄関や窓からの侵入も約2割あります。外構でできるのは、入りにくい・見られやすい・音が出る環境をつくることです。窓や鍵の対策とセットで考えてください。
外構より先に、窓と鍵を見直す
警察庁の資料でも、一戸建ての侵入口は窓が1位です。侵入の手段はガラス破り、無締り、合かぎの順になっています。庭を作り込んでも、1階の掃き出し窓の鍵がかかっていなければ意味が薄くなります。
埼玉県が窓の対策に挙げるのは、防犯ガラスと防犯フィルムと頑丈な面格子です。1つのドアや窓に鍵を2つ以上付ける補助錠も、対策の一つとしています。これは建物側の工事なので、外構の見積書には出てきません。外構の打ち合わせとは別に、住宅会社にも聞いておいてください。ゴミ出しのような短い外出でも、施錠は省かないのが基本です。
狙われやすいのは、どんな外構か
埼玉県の資料にある「狙われやすい住宅」のうち、外構に関わるものは次のとおりです。
- 塀や植木が高く、道路からの死角が多い
- 玄関や窓が、道路から見えにくい位置にある
- ベランダが塀に近く、2階に上がりやすい
- 脚立などの足場になる物が、敷地に置いてある
- 敷地と道路の間に仕切りがなく、入りやすい
- 公園や駐車場など、誰でも出入りできる場所に面している
エアコンの室外機や物置も、2階のベランダや窓の近くに置くと足場になります。同じ資料には、室外機の周りにフラワーポットを置いて足がかりにならないようにする工夫も載っています。外構の計画では、塀の近くに何を置くかまで図面に書き込んでおきたいところです。
隣が駐車場や公園なら、前の項目の「誰でも出入りできる場所に面している」にあたります。その側のフェンスは、高さと開口部の位置を特に見ておきます。カーポートの屋根や低いフェンスの上から、2階のベランダへ届かないかは、図面の断面で見ておきます。
目隠しフェンスと見通し、どちらを優先するか
目隠し性の高いフェンスは、プライバシーを守れます。その代わり、道路側からも中が見えなくなり、死角ができやすくなります。埼玉県も、塀や植栽は外から見通せるように工夫するよう勧めています。
たとえば、リビングの掃き出し窓の前に高い塀を建てたとします。庭でくつろぐ姿は見えなくなります。同時に、窓に近づく人の姿も、通りからは見えなくなります。その窓は、侵入しようとする人にとって、通りから見られにくい窓になります。
かといって、仕切りがまったくない敷地は入りやすくなります。高さは、道路から敷地に入りにくいことと、外から見通せることの両方を見て決めます。
分け方の一例です。隣家との境や庭の奥側は目隠しにして、通りから玄関や掃き出し窓が見える位置だけは見通しを残します。全面を目隠しにするより、場所を分けるほうが死角は減ります。
費用も変わります。当サイトのシミュレーターの目安では、フェンス1mあたりの単価はメッシュが0.8〜1.6万円、目隠しは2.8〜6万円です。10m張ると、メッシュは8〜16万円、目隠しは28〜60万円になります。道路側の全部を目隠しにすると、予算が大きく動くわけです。見通しを残す範囲を決めて、目隠しにする長さを絞れば、その分だけ費用を抑えられる場合があります。
ライト・防犯砂利・カメラは、どこに置くか
センサーライトは、人が近づいたときだけ点灯するタイプが多く、急に明るくなることで気づかれやすい環境をつくります。点けるだけでなく「どこを照らすか」で効き方が変わります。照らす場所の候補は次のとおりです。
- 勝手口まわり
- 隣地との間の細い通路
- 1階の掃き出し窓の前
埼玉県は、庭に防犯砂利を敷くと歩いたときに音が出て効果的としています。敷く場所は、窓の下と、隣地との間の通路が候補です。音で気づかれやすくなるので、抑止にはつながります。ただし、これだけで侵入を防げるわけではありません。
防犯カメラやセンサーライトの費用は、同じ目安で2〜20万円です。機器の種類と台数で幅があります。カメラやインターホンを後から付ける可能性があるなら、配管と電源だけ先に仕込めるかを工事前に聞いておきます。カメラは、隣家の窓や道路を大きく写さない向きに付けます。
留守だと分かりにくくする工夫
埼玉県の資料は、留守と分からない工夫として、外出時の点灯と電源タイマーの利用を挙げています。夜になっても洗濯物が干したままだと、不在だと分かってしまうとも書かれています。
外構で手を付けられるのは、玄関灯と門柱まわりの照明を、タイマーやセンサーで点くようにしておくことです。郵便受けに郵便物がたまった状態も、留守のサインになります。旅行のときは、新聞や郵便を止めてもらう手続きが必要です。
門扉・勝手口・物置の鍵
門扉や勝手口、物置の扉には、補助錠や電子錠を付けられるものがあります。カーポートには開閉する部分がないので、鍵の対象になるのは物置や門扉側です。
鍵を付けても、かけ忘れが続けば効果はありません。習慣として続けられる位置と形かどうかも、選ぶときの基準になります。
業者に聞くこと
防犯の提案は、会社によって出てくる内容に差があります。見積もりを頼むときは、窓の位置と、夜に暗くなる場所を写真に撮って送ります。そのうえで、次の点を聞いておきたいところです。
- 通りから見えない場所がどこか
- 照明を付ける位置と、電源の取り方
- カメラやインターホンを後から付けられる配管になっているか
この3点を同じ文面で何社かに送ると、通りからの見え方まで考えた提案かどうかが、回答の細かさに出やすくなります。何社にも送る手間を省きたいときは、一括見積もりサービスにまとめて頼む方法もあります。
見積書では、防犯に関する項目を分けて書いてもらうと判断しやすくなります。ライトの台数と防犯砂利の面積とカメラ用の配管は、一式にせず別の行にします。予算が合わないときに、どれを外すか、後からどれを足すかを選べます。
道路側の長さが決まっているなら、外構費用シミュレーターのフェンス項目にその長さ(m)を入れて、目隠しとアルミ形材を切り替えてみてください。長さ別の計算例はフェンスの費用にあります。
参考にした資料:埼玉県「住宅対象侵入窃盗対策」、警察庁「住まいる防犯110番」。